DJ MIX “impossible sea” セルフレビュー

  • 2026.08.13
  • DJ
DJ MIX “impossible sea” セルフレビュー

2週間ほど前にハウスミュージックのDJ MIXをリリースしました。

このMIXが思わぬ人に届いたり、これがきっかけでまたお誘いをいただけたりと、望んでいた以上にやった甲斐があったので、どんな事を考えてこの構成や繋ぎにしたのかを記しておきたいと思います。どこかの誰かの参考になれば幸い。


00. intro
01. Fine Night / Cloonee
02. Rain (Vocal Remix – Harry Romero Edit) / Kerri Chandler
03. After The Rain / Miguel Migs
04. Don’t Ya Know (Johnny Fiasco Mix) / Atnarko
05. Do Me This Way feat. Alexander East / Jay Tripwire
06. The Very Existence / Los Hermanos
07. Burnin / Pépé Bradock
08. さよなら惑星 ~かぐや姫の涙~(Edit) / Peach sugar snow
09. Hazy / Ginger does’em all
10. Cero (DJ Harvey Remix) / Galarude
11. I Wanna Dance (onionboy Remix) / カレーパイセン
12. Samba de mar / 大貫妙子

まずはジャケットを飾ってくれた兎白えむさん。MIXを作る前から彼女にジャケットになって欲しいと依頼していました。

tracktop girlの企画分も併せて撮影したので、お楽しみに。

ここ最近のDJ MIXは短い時間に色々詰め込もうとし過ぎて、ハウスミュージックをベースにしながらも2stepやその派生型など四つ打キックではないものも入れることが多かった気がします。

音楽の制作や今後の進め方、仕事、それ以外のプライベートなども同じでモヤモヤすることも多く、そして単純に「好き」と言うには暑くなりすぎた日本の夏・・・

同じ東京都内、あきる野市の川沿いに出かけたときに、駅や山道は都市部とほぼ変わらず暑いけれども、川に足を入れた瞬間にとても冷たくて気持ちが良く、何より水が綺麗で、このひとときの清涼感を知ることが出来ただけでも良い小旅行だと思えました。

海へ行く余裕や時間は無くても、このささやかな癒し。そんなところから着想を得てこのDJ MIXを作ろうと決めました。


00. intro
01. Fine Night / Cloonee

波の音にビートを重ねただけの自作イントロ、しかし怪しく始まる1曲目の「Fine Night」が進むにつれて徐々にイントロへのエコーを深めてゆきました。それによって穏やかな波の音が、いつの間にか洞窟の中や滝の裏に居るような感覚になるように。


02. Rain (Vocal Remix – Harry Romero Edit) / Kerri Chandler
03. After The Rain / Miguel Migs

梅雨~梅雨明け、雨上がりを表現したく、この選曲です。しかもKerri ChandlerもMiguel Migsも自分にとってハウス界の大御所。

そして、RainのリミキサーであるHarry “Choo Choo” Romero、彼の名がクレジットされたレコードは何枚も持っています。1曲目と比べてかなり古い曲でサウンドもそれなりとなってますが、骨太なビートがジャジーなウワモノを単にオシャレな雰囲気に留めずちゃんと腰に刺してくる感じが今でも好きです。

Miguel Migsも昔から好きでしたがこちらのトラックは比較的最近のもので、しっかりと西海岸のサウンドを今もアップデートしてくれていることが嬉しくなりました。四半世紀前くらいにサンフランシスコに旅行に行った際に彼のDJを現地で体感することが出来たのですが、このトラックさながらのチル感とビルドでとても素晴らしかったです。

そのクラブにはティンバレス奏者が客?として来ていてトラックに合わせて奏でていたのが衝撃的で、とても良かった。


04. Don’t Ya Know (Johnny Fiasco Mix) / Atnarko
05. Do Me This Way feat. Alexander East / Jay Tripwire

このDJ MIXの最初の見せ場です。04の序盤で早くも05を重ねてかなりの長尺でロングミックスしています。人によってはかなりの違和感があるかもしれませんが、自分としてはかなり気持ち良く重ねられました。

Johnny Fiasco名義のレコードもかなり買ってきたと思います。アシッドっぽくもテクノに寄り過ぎないバウンシーなベースが最高にカッコイイ。次のJay Tripwireの曲はレコードでも持っていてかなり好きな曲です。04のアシッドさを受け継ぐようにバウンシーなアシッドベースが入ってくるタイミングで完全に曲を切り替えています。


06. The Very Existence / Los Hermanos

05に完全に曲を入れ替えたと思ったら、すぐ06をかぶせます。UR軍団のLos Hermanos。この曲が大好きで、何度DJで使ったかわかりませんしDJ MIXでも度々入れてきました。DJや音楽をやっていると、まさに、「自分の存在って何だろう」と立ち返るときは少なくなく、この曲が代弁してくれているような。そしてその問いから逃げるなよ、とも。

ありそうで無さそうな、ミニマルだけどエモーショナルなループの上に腕利きのリードソロを載せる、これは彼らのライブでも堪能することが出来て、メタモルフォーゼなどのライブは本当に素晴らしかったのを思い出します。DVDで出ているライブ盤で序盤に「The Very Existence」が始まるところでそのあまりの高揚感にいつも泣いてしまいます。

UR軍団のハードめな曲も好きですし、BPMを落とせば音のカタさは残るけどハウス解釈も可能な曲も多々あり、その辺りも好きです。逆に、ゲットーテクノやジュークのDJが大幅にBPMを上げてUR軍団の曲を使うのもとても面白いうえにリスペクトも感じたりして素晴らしい。


07. Burnin / Pépé Bradock

これもレコードで何度もプレイした曲。説明不要の大名曲で、Freddie Hubbard「Little Sunflower」を元ネタにしています。ヒップホップグループGAGLE「雪ノ革命」も同じネタを使って素晴らしいトラックを残しています。レコード欲しいなぁ。


08. さよなら惑星 ~かぐや姫の涙~(Edit) / Peach sugar snow

これまでのセットでも自分らしさは発揮出来ていて世の中にそうそう同じ発想でMIXする人は居ないと思います。でも本当に自分にしか出来ないこと、となるとここからです。小林清美先生を知るきっかになった「Peach sugar snow」の曲。

ASMRブームを先駆けたウィスパーボイスアイドルのプロデュース、そして美しい旋律に載せて響く絶望的な歌詞。PSSの曲は涙無しには聴けない曲ばかりです。これもその1つですが、今回DJ MIXのセットに入った経緯を。自分が組んでいるユニット「リハビリテーション」はとても清美先生にお世話になり、また先生の運営するK&Mミュージックにお世話になりました。

K&Mミュージック中野店が惜しまれつつも閉店することとなり、その締めくくりを飾るライブの1つに、清美先生のワンマンライブがありました。そこでも様々な曲が歌われましたが、シャイなお客さんが小声で言った「さよなら惑星・・・」のリクエストを私は聞き逃しませんでした。

「先生!この方がさよなら惑星と!」と震えながら進言しました。私は思い付かなかった。でも彼のおかげで聴くことが出来た。やはり大名曲。この曲のBPMはかなり速いので、今回エディットして無理やりBPMを下げ、低音を補強しました。


09. Hazy / Ginger does’em all

何から話せば良いか。でも彼がTwitterに居なければ私も出戻りしてまたこんなに投稿することも無かっただろうし、何年もSNSを辞めていた期間にたまたま彼が曲をリリースしていることを知らなければ、自分もまた精力的に曲を作ったりDJをしたりと思うこともなかったかもしれない。

このDJ MIXをキレのある感じからオーガニックな感じにしてゆきたいと考えていたのですが、その転換点にうってつけだったのがこの曲でした。

リハビリテーションを名乗る前のトーニャハーディング名義でバンドもやっていた頃、「spa wars」というレコードをリリースしました。そのレコードにはGinger does’em allのリミックスが収録されています。彼を初めて知ったときは色んな曲をカットアップしまくって全く異なる曲を作り上げる変態的な天才が!と思ったものですが、spa warsはなんとリキッドファンク、ドラムンベースに仕立てました。

今は日本酒ソムリエとしての活動をメインに、日本酒界でもその変態ぶりを発揮して暴れているようで何よりです。


10. Cero (DJ Harvey Remix) / Galarude

DJ Harveyのレコードも結構持っていて、本当はレコードの曲を収録したかったのですが質感が違い過ぎたためデータで手に入れられるこの曲にしました。これも充分素晴らしいしコンセプトに反さない。今思うのは、やっぱりレコードでしかリリースされていない曲もかなりあるため、そのレコードでDJする機会が欲しいしもっと多くあるべきだ、ということです。

Harveyだけでなく、当時気軽に?プレスされていたレコードも今ではコストや権利の面でリリースが難しくなり、データ販売や配信などはもってのほか、のような解釈もあり、難しいところです。だからこそレコードで楽しむ場が欲しい。別にそれで儲けたいとか、DJで有名になりたいとか、一切無い。レコードでしか楽しめない音楽でみんなと踊りたい。


11. I Wanna Dance (onionboy Remix) / カレーパイセン

今回のもう1つの見せ場。カレーパイセンのリリースした新EP、とても素晴らしかった。その中でこのMIXに一番合うのは・・・と聴き込んでいると、前回に続きまたしてもonionboyのリミックス!10との相性、そして10から12のフィナーレを繋ぐ役割にふさわしい、でも単なる場繋ぎではなく単体としての力も不可欠・・・それを叶える素晴らしいトラックです。

最近仲良くしてくれている若手DJのミナミくんという方に、ミックスでこの曲がとても好きでした!と楽しげに言ってもらえて我が事のように嬉しかった。


12. Samba de mar / 大貫妙子

単に「名曲」では済ませられない、今ではリリース出来ないような色んな意味でヤバい曲も多い大貫妙子さん。それもそのはず、ご自身も超一流ですが若い頃から超一流の環境でずっと音楽を続けてこられたのだから。

小さい頃から素晴らしいミュージシャンだというのは知っていたけど、この曲と収録アルバムのことは大人になるまでチェック出来ていませんでした。清涼感と祝祭感を併せ持ち、そしてそれだけに留まらず狂気も孕んでいる、この曲が大好きです。

西麻布のBULLET’S(ブレッツ)という、これまた大変お世話になった唯一無二の空間であるクラブへの感謝と郷愁を込めての選曲です。ここでは色んな猛者と出会いましたが、あるDJが完璧な流れでこの曲をかけた光景を今でも思い出します。

オーナーのハリーさんは元気にされているだろうか。

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