ここ最近、捨てられなかったレコード #捨てレコ シリーズと、告知ブログしか書いておらず、はたしてこんな人間だったであろうかと自問自答の日々です。
しかし今回は、音楽という無形の芸術から、物理法則に支配された現実世界へと舞い降りた記録。そう、DIYです。
初めてのDIY——それは、45年弱の人生で避け続けてきた“物理的実体”への挑戦。指先ひとつで音楽を生み出してきた男が、ついに電動ドリルを握り、世界に“穴”を開ける日が来たのです。
ゼロDIY男が何故か持っているドリル
MR.BIG好きは全員持っているドリル、私だって持っていました。ステージに板付きでドリルが置いてある最高のバンドです。
「運命の分かれ道」——レコード選別戦争
引っ越しを機に、大量のレコードと向き合う日々が始まりました。これはまさに、我が人生の“レコード版ノアの方舟計画”。
生残レコと #捨てレコ の選別作業は、まるで愛するペットたちのうち誰を連れていくか決めるような非情な試練。しかし、東京の狭い住環境では「スペース効率」という絶対神が、涙も情もなく決断を迫ってきます。
泣く泣く何千枚ものレコードと別れを告げたあと、残された精鋭たちも今や部屋の片隅で難民状態。そして、問題はレコードだけではありませんでした。
MIDIキーボード難民問題
作曲を続ける以上、MIDIキーボードはいつでも手の届く場所に置きたい。しかし、現実はこれ——
「キーボードを置く」→「他のモノ・機材が行き場を失う」
「キーボードを片付ける」→「作曲する気がなくなる」
この無限ループに、ついに精神が限界を迎えました。
「音楽をやってます」という言葉がひと昔前は“カッコいい”を意味していたのに、今やそれは「機材やケーブル類のせいで部屋が汚いこどおじ」の婉曲表現。床に座るスペースすらない40代の悲哀。
解決策を求めてネットの海へ
AmazonやGoogleの検索履歴には、私の苦悩が刻まれていました。
「キーボード スライド 引き出し」
「机 下 収納 DIY」
「狭い部屋 機材 あきらめ 人生」
「中年 趣味 断捨離 鬱」
最後の検索ワードのせいで、なぜか関連サイトに「転職サイト」が表示されました。既製品では解決しないならば、DIYしかない!と結論を出すのにかかった期間はたったの2ヶ月です。
44年間DIYとは無縁の人生
「ネジを締める」が私の工作スキルの天井。ミニ四駆すらまともに作れなかった男が、いま机に穴を開けようとしているのです。
しかし、MR.BIGのファンなので我が家には電動ドリルセットがありました。
「ユニクロネジ?それファーストリテイリングの守備範囲?」
「皿ネジ?」
店員さんに相談すると、「ああ、それなら簡単ですよ」との返答。いや、その「簡単」という言葉が初心者にとってどれほど恐ろしいものか、彼は知る由もないのです。
ホームセンターで板、スライドレール、L字、ネジ、ボルト的なもの、スポンジヤスリ等を買いました。
いざ、工作開始
手順:
1. 失敗しないよう祈る
2. 穴をあける場所に印をつける
3. もう一度祈る
4. おそるおそる穴をあける
5. 成功を神に感謝する
6. 次の穴に移る
また、おっちょこちょいレベルがその手の漫画のヒロインを軽く超えてくるのが私なので、2種のスポンジヤスリで板の角を入念にこすり、機構が完成したあとにぶつけても怪我などしないようにします。
この崇高な工程を経て、ついにスライド機構が完成。引き出してみると・・・
「動いた」
キーボードの新居完成
こうして、キーボード専用の引き出し式シェルフが誕生しました。シンデレラフィット。
・使わないときはスッキリ収納
・使いたいときはサッと引き出し
・足元の快適さも確保
なんなら前より快適です。膝が当たらない!足が伸ばせる!
「DIYとは、かくも世界を変えるものなのか……!」
(この機構のせいで机全体を10cm以上底上げした)
44年目の気づき
・DIYは辛く楽しい
・穴を開けるのは怖い
・測って、切って、組み立てるだけで世界を創造した気になる
・「自分で作った」という満足感は、お金では買えない
・ホームセンターは宝の山
この喜びを噛みしめながら、ふと考えました。
「次は壁に吸音材を……?」
いや、調子に乗るのはやめておきましょう。一歩ずつ、一歩ずつ。
DIY専門用語集
トルク調整:ブラックホール
スライドレール:人生を滑らかにする金具
水平器:作業を全て追えた後に発掘
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