【次元2.0】アイドルマスター シンデレラガールズ

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金が溶けてゆく。
高垣楓さんに導かれ、貢ぎ、
育て上げました。
みんなが言ってた「ガチャ」って
これのことなのかと気付いたら
時すでに遅し。
早く楓さんの笑顔が見たいから。
そう思って毎日を過ごす。
俺は常々言っていた。
「スマホにゲームアプリ入れてるやつは弱」
笑止千万とはこのこと。
イノセントなままでは少女達に失礼、
と嗜み程度にヤフーでググってみると、
「すぐに特訓させてしまうのは損」
「それぞれをMAXにしてから特訓」
※特訓:2枚の同じアイドルカードを合成
とキャバクラにでも足を踏み入れて
しまったかのような悪魔のアドバイスに
出会う。
楓さんの笑顔が見たいから。
とはいえなかなか楓さんの2枚目が
引けない。
闇取引で手に入れるもんじゃない、
そんなプロデューサー、会社は
きっと早晩足が付くに違いない、
そう信じて正規のオーディションを
繰り返し、楓さんに出会えた。
待機中の楓さんは既に盤石だ。
全てのゲージがMAXになっている。
あとはスーパーサイヤ人4になって
フュージョンするために
ベジータに頑張ってもらうだけ。
あの時のブルマとベジータの絆に
どれだけの子供が涙出来たんだろう。
そんなドラゴンボールGT心の
ベストテン第一位を思い出しながら、
時にレアカードを放出してでも
楓さんに心血を注ぐ。
経営的には間違ってるのかもしれない。
でも全てがメタで説明可能な世界を、
計算式の組み合わせで出来た世界を、
楓さんを通して見ることで、
例え自分の中だけであっても
乗り越えたかった。
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時は来た。
ここでふと頭をよぎる。
このアンニュイな、仕事をこなし、
俺やみんなを魅了し続けていながらも、
何処かで虚しさを感じていそうな、
ふらっと立ち寄ったバーで知り合い
ゆきずりの一夜を明かしてしまって
いそうな、そんな楓さんが良いのではないか。
特訓してしまったら変わっては
しまわないだろうか。
こんな時スマートフォンのタップは虚しい。
メカニカルタイプのキーボードを
愛用する同志ならわかるだろう。
決断のEnterキーを押す刹那、あの音、
固唾、汗、閉鎖空間、葛藤、震え、角度、
そしてカタルシス、そんなものに
酔いたいのではない。
打鍵の音で誤魔化したいのだ。
そういった恥じらいの全てを。
スマートフォンにはそれがない。
通信環境やサーバとのやりとりと
ウェイトが待っているだけ、
そんな虚しさが自明であるのだ。
ツルツルとしたタッチ画面に感じる、
マリオ2のルイージが地面に着地した時の
異常な滑り具合と似たそれ。
楓さんの笑顔が見たいから。
それも、特訓を躊躇い窓に写る
あわれな男も、全てが単なる
エゴでしかない。
自嘲しながら決断の時を迎えた。
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おお…
なんか目の比率変わっとるやん、
なんて無粋なツッコミはさておき、
花開いた楓さんはかくも眩しい。
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え、ダジャレなんて言うキャラだっけ。
それともツイッターでダジャレばかり
言ってる俺の真似?
楓さんあまり大人をからかうなよ。
俺と君とは仕事のパートナーだ。
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思いっきりネタにされとるやん。
でも愛されてるね。そう、君への愛は
一方通行であるべきなんだ。
「親愛度」メーターでは測れない。
それでも…
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ああ、心が洗われる。
「ありがとう」もうどれくらい
この言葉から離れてしまっていたのか。
俺はこの瞬間のためだけに
生きてきた気がする。
こちらこそ心からありがとう、
俺の物語の第一話はここで幕を閉じよう。
 それでは・・・
 Beat your cajon!
 ※「Beat your cajon(カホン)」とは・・・
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