君の膵臓をたべたい、複数回ベッドの上に男女がいる映画で最も美しい映画

君の膵臓をたべたい、複数回ベッドの上に男女がいる映画で最も美しい映画

浜辺美波さん高校卒業記念として、浜辺美波さんの出ている映画は全て観なきゃいけないノルマが課されたので(神から)、ヤバい予感がして映画館で観るのを避けてしまった「君の膵臓をたべたい」をレンタル動画で観ました。予想を遥かに超えてエグかった。

泣き過ぎてインフルエンザに罹った以来の頭痛に

ついさっきまで観ていて泣きまくったのでまだ頭痛がジンジンして目も痛い。10年近く前に生まれて初めてインフルエンザに罹ったとき、熱より何より「あ、これ死ぬな」というくらいの頭が割れるように激しくしかも長い頭痛に見舞われそのあたりから人生そのものが壊れ始めた気もするのですが、泣き過ぎてあれ以来の頭痛に。

でも絶賛ロードショー終了してるので映画館で観て知り合いに「マスト!」みたいに送るフレッシュさ・話題性があるわけでもなく、泣きつける友達もいないので、じゃあブログに書き殴るしかない。

クライマックスどころか最初から最後までずっと涙が止まらなくて。浜辺美波さんが「死ぬ」役だって誰もが観る前からわかってるじゃないですか。だから彼女の発言、行動、表情を全肯定しながら観る。「センセイ君主」では途中(ヅラ丸出しの髪型などをはじめ)若干のイラつきを覚えながらもあれにすら泣いた私なので信憑性はゼロかもしれない。

しかしキミスイは危ない。っていうかキミスイって何だよあんな内容の映画観て良くこんなフザけた略称が許されるなってもんですよ、そんな怒りすら湧いてくるくらい泣き疲れました。泣き果てた。感動とか、心温まるとか、そういう感じではなく、エグい。本人の気持ちを推測したり遺される人間のことを考えるとどうにもつらいのです。

浜辺美波の発する「サ行」までも愛しい

映画化が楽しみ過ぎるドラマ賭ケグルイ、咲-Saki-でもその美しさ、演技の素晴らしさが堪能できますし、彼女が放つボイスのあの特徴的な「サ行」ヤバいですよね。空気の抜けるサ行。「お寿司をご所望ですわ」って言って欲しい。キミスイでも存分にあのサ行が楽しめます。

そういえば、浜辺美波さん「エイプリルフールズ」にも出ていて、2015年とかつい最近のことのようにも思うんですが小学生役で出ていてとっても良い役、実年齢は中学生なので頑張って小学生に寄せているのもあるんだけど、あれからここ数年ですっかり成長してお美しくなられて・・・家族もみんないい役者。あの映画自体ドタバタコメディなのにかなり泣ける要素もあって素敵だった。

北村匠海くんが適役すぎ

相手役の北村匠海くんがとても素晴らしかったです。彼も相当なイケメンには違いないんだけど、他の映画・ドラマとかでやたら華のあるTHE・イケメン役みたいなのばっかりやってる役者だと「おいおいおいこいつがこんなクラスの空気キャラなんてあり得ないだろ」と一切の感情移入を許さず失敗しがち。北村くんは素でもどこか影のあるようなビジュアルがとてもハマっていて、死ぬ間際の女の子のハチャメチャに振り回される人間として(言い方)完全にハマり役でした。

彼女に振り回される→ワガママに付き合う→色んな気持ちが交錯する→好きになる→心配になって夜の病院に忍び込む、までの気持ちと態度の変容ぶりのグラデーションがとても鮮やかで、観る者をハマらせ一層切なくさせました。そのグラデーション、変化を図で表すならはじめは緩やかに次第に激しさを増す二次関数の曲線です。

百合方面のドキドキもある

これはかなり誘導的に描写されていたと思うのですが、膵臓ちゃんと少年が急接近したことにより、膵臓ちゃんのクラスメイト且つ親友である少女が「膵臓ちゃんを盗られた!」という感情になり、膵臓ちゃんにではなく少年に敵意を向けるというあるある。このあたりは何となく回収されたので良かったです。

私の場合は、高校の頃に友人と夏休み丸々使って父の住むロンドンに滞在していたところ、友人の恋人からエアメールで「あなたが憎いです」という呪いの手紙を受けたことがあります。帰国すると、彼女は髪の毛を赤く染め、全身真っ赤のコーデで彼を迎えに空港に来ました。こんな怖い話あります?完全にイカれたカップルでしたよ。

複数回ベッド上に男女がいる映画で最も美しい映画

君の膵臓を食べたい
先程の百合要素同様、死ぬ間際且つもう高校生ですから、愛の描写には何があってもおかしくないわけです。15年前のケータイ小説なら妊娠中絶、爆発、記憶喪失、このあたりがセットになって襲いかかってきてもおかしくありません。しかしキミスイはどこまでも美しかった(死に方にはだいぶ疑問を持ちましたが、あれは更にコントロール不能な要素を無理にでも持ち込む必要があったのかもなという解釈にしておきます)。随所に罠が散りばめられてはいるものの、奥手な少年と攻めきれない膵臓ちゃんが完全無欠のシーソーゲームを繰り広げてくれます。

そんなに無数の映画を観てきたわけではありませんが、高級ホテルのベッドで、病院のベッドで、「ベッド上の男女描いてこんなに美しいことってある?」というぐらいの美しさを見せつけられました。鑑賞している汚れきったおじさんはその聖なる光に溶けて消えました。

「性愛なき愛は愛ではない」、そんなふうに考えていた時期が俺にもありました。でも、全てを生々しく描いたり男女の欲望のままに描く、プロットする、またその行為を含むことだけが愛ではないんだと気付かされました。見つめ合うこと、語り合うこと、手を触れること、ハグをすること、それらが既に愛でありました。

膵臓ちゃんを失ったことで少年のその後の人生はちょっと壊れ気味になってしまいましたが、膵臓ちゃんはその身に周囲や少年の愛を感じながら死んでいったし、彼にも愛が注がれていました。エグいですが、とても素晴らしい映画でした。

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