映画「ドライブ・マイ・カー」
正直眠たくなるような瞬間は幾つもありうつらうつらしてしまいましたが、とても素敵な映画でした。
映画の初っ端から「自分磨き」について何度も何度もセリフが出てきたところで噴き出してしまいそうになりました。
そういった行為、ワードが「恥ずかしいもの」「笑い飛ばすべきもの」としてのみ刷り込まれている自分を恥じました。
一方で、「自分磨き」は単純に気持ち良かったり、背徳感であるとか孤独であるとか複雑な要素が絡み合っているのだということを再認識できました。
ちなみに、テストステロン値をコントロールするために40歳を過ぎて初めてしばしば「オナ禁」を取り入れております。
劇中に多重人格について触れられるシーンがありますが、ある1人の人物を指しているというよりは、その人物を使って人間そのものを語っています。
才能、DQN、性、善、悪、そういったものがどの人間にも当たり前のように内在・共存、時に多重人格者のように機能しているから、それぞれのパラメータにだけ囚われてはいけないのである、というような、坊主の説教とも取れる映画でもありました。
昨年、友人の墓参りに大阪に行きました。なのでクライマックスの主人公が既に亡くなっている妻に対して、時を経て感情を強く表出させたところ、仕事で知り合った人間と心の壁を取り払ってハグし、抱きしめ直すところ、非常に刺さりました。
美化させ過ぎず、恨まず、ただ故人との間の事実や心の交流を思い出す、受け入れる、とても難しいことです。人はどうしても自分の都合の良いように考え、行動する生き物だから。
いい女
「ドライブ・マイ・カー」にはいい女が何人も出ていました。それだけでも観る価値のある映画です。いい女と抜きん出た才能がある男、いい女とDQNの絡み、オタクが見ていてツラい要素がギッシリ詰まっているのもこの映画の良いところです。
悪い言い方をすると、こういう小説が元になっている能書きが多すぎる映画は、自分みたいな人間からすると鼻につく要素も多く、「世の中の全てをわかったかのように演出しやがって」と思わなくもないのですが、そうではなかったのが凄かったです。
全ての人間は、巡り合わせ、運によって大きく左右されるのである、そういったすれ違い、タイミングの妙のようなものを大きく感じ取ることが出来たので、(逆に、「出来すぎだよ、これがフィクションね」という瞬間も当然仕込まれている)私のような人間の心にもスッと入ってくる。
いい女といい景色があれば大体の映画には満足できるのですが、能書きがそれを帳消しにすることもなく、語り過ぎて上等な料理にハチミツをぶちまけているでもなく、素晴らしかったと思います。
スペース
こんなブログを書いているぐらいですから
ツイッターに「スペース」という機能があることも、最近になって知り合いから知らされました。
Youtubeやらツイッターが、他社サービスに脅威を感じてそれらに似たような機能を搭載するのは面白いですね。
知り合いが数人集まって、音楽や映画について語るということをスペースで定期的にやっているようで、アーカイブが残っていたので仕事しながら聞かせてもらいました。しかもドンピシャで「ドライブ・マイ・カー」や濱口竜介監督についてアツく語っており・・・
ツイッターでつぶやきまくるのを辞めて数年、不思議な縁を感じざるを得ませんでした。
実は、色々なYoutuberさんの影響で、自分もラジオなのか、動画による表現なのか、この下手クソな文章だけではなく、声を使って何かを配信したいと思っていたところでもあります。
また別の知り合いがYoutubeでこのような番組をやっていて、まさか刑さんにこの孤独死ブログを読まれていたとは笑。かつてちょくちょく顔を合わせていた人たちが、面白い形で情報発信をしている。
刑さんはさておき、このブログはたまたま漂流(まさに漂流というワードが適切な気がしています)して流れ着いた方、知り合い数名、が読むものであり、そういう方々に向けて書いているものであります。
人気者が多数の読者に向けて書く、また人気者になりたい人が書いているものではありません。お金を稼ぎたい、人気者になりたい人というのは、読み手がどうやったら喜ぶか、どうやったらお金を出してくれるかを考えており、またそれを優先しなければならない。
でも自分の場合は、むしろお金を払ってサーバーを借り、広告の付かない広場を確保してそこに書きたい放題文字を垂れ流しているだけ。
写真にしてもそうです。SNSにアップせず、比べず、自分の好きなようにやる。
そんな自分が、今更スペース的な何かやYoutubeで語るのはちょっと違う気がしますね。もう少し考えます。
トーニャさんが元気でいてくれて、何かを考えて、感じて、時々でもこうして発信してくれる。
それがすごく嬉しい人間がここにいます。
> sanaeさん
コメントありがとうございます!
このブログをわざわざ見に来てくれる人っていうのは自分にとって本当に貴重な存在です。