「リハビリテーション」音楽で紡ぐ、終わりなき再生の物語

「リハビリテーション」音楽で紡ぐ、終わりなき再生の物語

「リハビリテーション」という名前には、私たち自身の物語が宿っています。かつて私たちは、トーニャハーディングという名で音楽を奏で、共にステージに立ち、音の波に身を委ねていました。しかし、時間は流れ、家庭環境の変化や人生の様々な波が押し寄せ、気がつけばその名の下での活動は過去の出来事となっていました。振り返れば、いつも通り過ぎていく時間の中で、音楽から一度離れた私たちは、かつてのリズムを失い、音のない静寂に包まれていました。

そんな静かな時間が続く中、私たちは再び音楽への道を見つけ出しました。決して大きな劇的な瞬間ではありませんでした。トーニャハーディングが2023年に作曲を再開したことなどをきっかけに、私たちは振り返り、言葉を交わすようになったのです。何気ない語り合いの中で、小さな火種が心の中に灯り、それが少しずつ大きくなっていくのを感じました。そうして、再び私たちは立ち上がり、新たな名前での再出発を決意しました。「リハビリテーション」──それは、私たち自身の再生であり、社会全体が再び蘇ることを祈る名前です。

プレステージ加藤の知人が手がけた「リハビリテーション」のロゴには、私たちの心の奥底にある物語が静かに、けれど確かに刻まれています。そのデザインは、単なる視覚的な象徴ではなく、私たちが歩んできた道のりや出会った文化、そして音楽に対する深い敬意を表しています。プレステージ加藤が何度も足を運び、深く魅了された台湾。その土地の文化、音楽、そして何気ない日常が彼の中に残した痕跡が、このロゴにそっと忍び込んでいます。それは、私たちにとっての精神的な故郷の一つとなり、音楽に込められた一つの感情の源泉でもあります。

また、私たちの音楽人生に多大な影響を与えてくれた英語圏のアーティストたちへの敬意も、ロゴの中に流れています。彼らのメロディ、言葉、リズムが、私たちの創作の土台を築き、私たち自身を形作ってきました。そしてもちろん、私たちがこの場所で生き、創り続けてきた日本。この国の文化、音楽、そして日々の生活に根ざしたものが、私たちの音楽の一部となり、ロゴの中で静かに息づいています。

このロゴは、ただのデザインではなく、これらすべての要素を繋ぎ、新しい世界を創り出すという私たちの決意の象徴です。台湾、英語圏、日本という異なる文化を結びつけ、そこから何か新しいものを生み出す。そして、それを音楽に乗せて世界に届けること。私たちはこれから、中国語や英語でも楽曲を制作し、さまざまな言語で情報を発信していくつもりです。このロゴには、その未来への大きな意志が込められているのです。

再び歩き出すとき、私たちの音楽にはこれまで以上に強い感情が込められるようになりました。音楽を作り、演奏するという行為は、単なる作業ではなく、心の奥底にある感情と直接向き合う旅です。たとえば、「inside human body」は、そんな内なる葛藤を描いた作品です。歌詞の中で語られるのは、現実の不安と絶望、そしてそれでも何かを見つけ出そうとする姿です。お金がない、仕事がない、何もない──その問いかけは、自分自身の存在の意味を探し求める私たちの心そのものです。繰り返される日々に何の意味があるのか、それはサバイバルか、それとも虚しい夢の終わりなのか。けれど、その問いの果てに私たちは「時代を超えるパワー」を信じ、一瞬の輝きのために踊り続けるのです。

また、「港のギター弾き」では、もっと静かな絶望が描かれています。港町のギター弾きが、夜が明ける前の静寂の中、冷たいバーボンを流し込みながら感じる孤独。彼はギグを終え、飛び去るカモメを見つめ、ただまたギターを弾くことだけを誓う。それは、一人の音楽家の物語であり、同時に私たちの物語でもあります。音楽を通して何かを掴もうとしても、すり抜けていくもの。名もない夜の終わり、朝焼けが差し込むその瞬間に、私たちは自分自身の存在に疑問を抱きます。それでも、またギターを手に取り、弦を鳴らす。その繰り返しこそが、音楽を生きるということなのでしょう。

私たちが「リハビリテーション」という名前を選んだ背景には、ただ音楽活動を再開するという意味だけではなく、社会全体が今、癒しと再生を必要としているのではないかという思いがあります。コロナ禍や情報化社会の影響で多くの人々が傷つき、何かを失いました。私たちもその中にいる一人です。情報が溢れる現代において、可視化された痛みや絶望は、時に私たちの心を蝕むことがあります。それでも、音楽を愛し、人を愛する限り、私たちは無関心ではいられません。だからこそ、私たちはまず自分たちの心と技術を「リハビリ」し、そしてその音楽を聴いてくれる人々に、ささやかな癒しと希望を届けたいのです。

プレステージ加藤と私、トーニャハーディングは、それぞれ異なる影響を持ち寄りながら、共に音楽を創り上げています。加藤は、何度も訪れた台湾から食文化や音楽、KPOPなどの要素を私たちの音楽に持ち込んでいます。一方で、私は新旧のJPOPやベースミュージック、ラーメン二郎から影響を受けてきました。私たちの共通の音楽的土台には、スティービー・ワンダー、スティング、サザンオールスターズなどといった偉大なアーティストたちがいます。曲作りのプロセスは、シンプルな鼻歌やメロディから始まることもあれば、シンプルなビートから積み上げていくことなどがありますが、時には特定のジャンルやリズムから発展させていくこともあります。以前はプレステージ加藤が主にDAWでの作業を担当していましたが、今では私もDAWを使い、アイデアを送り合いながら楽曲を作り上げています。

「リハビリテーション」という名前には、私たち自身の音楽的な再生だけでなく、社会全体が癒しを求めているという願いも込められています。どんなに情報が溢れ、混沌とした時代であっても、音楽はその中に一筋の光を見いだすことができる。私たちはその光を探し続ける旅の途中です。これからも、「リハビリテーション」としての活動を通じて、社会に癒しを届け、人々に新しい希望を与えられるよう、挑戦を続けていきます。

現在、YouTubeで「inside human body」や「港のギター弾き」などのミュージックビデオ、そして私たちの演奏やトークを含む動画を多数公開しています。これらの映像を通じて、私たちの音楽に込めた情熱とメッセージを感じ取ってもらえれば幸いです。私たちの歩みを、どうか見守っていてください。

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